挨拶も無く
別れは突然に
南向きのキッチンは三方が窓、涼しい風が吹き抜け中央に置いたテーブルは私の格好の作業台。
テーブルの脇に、寝椅子を置き、起こしたり倒したりしてテレビを見たり。ノロノロ半日を過ごす。
喧しい蝉の声、食用ガエルの勇ましい(まるでほえるような)声とか楽しく聞きながら!
今は子供たちの明るい声が裏の駐車場から聞こえてくる。夏休みなんだなぁ~!
歩いて数歩と・・・午後からの職場も近く? 国道2号線の騒音も気にならない私!
そんなささやかな私の幸せを奪うのが、近頃の無礼なこの暑さ!
暑い!暑い! こりゃぁ、一体どうじゃ!
ふと、病と闘っている友達の事が気になった。
Kは、40年来の友だち。っていうよりか私の「人生の師」とも思う人。
何人かいる男友達の中でも代表のような人です。私の仕事を通じての出会いでした。
曜日、時間もそれほどの差も無く、毎週元気な顔を見させてくれてました。
それも・・・一年や二年じゃ無く、。よくぞ、まぁ~!
そんなKが、7月の初め2週間ぶりに現れた。
「土曜日まで入院してた。クルマも処分するのでもう、余り来られない!」 {?}
癌と闘っていることは知っていた!
4~5年前、前立腺がんの治療をしていたが、今は胃癌と闘っていることも。
周りに人がいるので多くは語れない。でも、車の処分ともなると?
がっしりした体躯と、余裕の笑顔からでは、理解しにくい、俄かには信じられそうにないハナシ?
帰り際右手を差し伸べ「頑張って!」と言うと、その手を左手で包み込み少し自分の胸元に引いた(様な?)
それも、あっという間の瞬間で。何事も無く背中を向けて出て行った。
あの日から二十日ほど経ちました。再入院したかな。来られなくなったといえども・・・
一度気になると、そのことが知りたくて、怖いような気持ちも大だけど・・・
思い切って電話した。
奥様が出られた。彼女とも共通の友人なので、いつもの調子で話しかけた!
二言三言のあと、「先週の水曜日亡くなりました。家族だけで送りました」と。
そりゃぁ無いよ。挨拶も抜きで!
もっと、しっかり、お話しておけばよかったよ!
じゃぁ~、あの日の握手が最後のお別れだったって・・・言うの!
なんとか言えよ! オイ!コラッ!
思いっきり、言いたいことを言って、思ったことを現わした。
でも、サヨナラなんて、きっちり言えるはずないよね。毎日前向きに闘っていた人が。
思いもよらぬ急逝に、改めてかけなおすことを約して、言葉もなく電話を切った。
次の日、娘さんに託して、自分の気持ちを収めました。また、改めまして!
悲しい別れが、またひとつ、出来ました。
by kazumi1171713 | 2017-08-02 20:09